日本と西洋の価値観の違い
では、その住宅の洋風化がどんな問題を持ち、どんな弊害をもたらしているのか?。
文化とは「人間が自然に手を加えて形成してきた物心両面の成果。衣食住をはじめ技術、学問、芸術、道徳、宗教、政治などの生活形成の様式と内容を含む」(広辞苑)ですから、その民族の文明、宗教とも深く結びつき、その民族を特色づけるものです。
西洋文明の主柱となっている文明観からすれば、神の名によって人間が行うことは正当化されています。自然破壊も、生物種の殺害も、異民族への虐待も許されます。西洋の多くは、地続きで国境が定かでなく、侵略とのたたかいの歴史を持つ国々です。これに荒野や砂漠の多い自然環境、寒暖の差の激しさ、自然の恵みの少なさ等という風土や生活条件にあって、自ずと異民族や自然に敵対し、対峙せざるを得ないことになります。
ですから、住まいの条件は、自然との対決、自然の遮断になります。外敵や自然と身構えた造りと土足での生活が前提とならざるを得ません。一分の隙もない石の住まいや鉄の扉、鉄棒で囲ってピッタリ閉ざせる窓等が必要となってきます。
洋風住宅が高気密、高断熱を当り前とするのは、このような文化からすれば当然のことになります。一民族国家で外敵を心配することなく、北海道等を除けば四季や昼夜の温度差には、耐えられないことはない、日本の風土観からは生まれない文化です。