ナラ（楢）

重硬な素材、広い用途で重宝な材

ナラの用途は、重硬で割裂しにくい材質から洋風家具をはじめ建築内装材、器具、床板、ドア材、運道具から、生活用品としての器物、ウイスキーやワインなどの洋酒樽等。
特に北海道のミズナラは世界に類のない良質材として高い評価をうけ、古い話になりますが、昭和40年代の北海道広葉樹産業をリードしてきたのは、このミズナラのお陰といっても過言ではありません。

人間には個性的な「こだわり」が心のどこかにあり、そのこだわりの気持ちを十二分に満たしてくれる素材にナラがあることも、木の文化の一つに上げられます。ロングライフに生活の一部を彩るナラの良さは、人と共に百年、二百年にわたり使われてきても、みずみずしく美しい木肌と、ねばりのある光沢が、個性的な「こだわり」の文化を育ててきたのだと思われます。
こだわりの典型的なものに、「ナラ」で作られた乗用車があります。
これは、世界的にも有名な英国の高級自動車メーカーが、高級自家用車の骨組となる「シャーシー」にナラを使って製作しました。
なぜ、ナラを使うかについては、弾力性の有る素材の特性と、静電気が全く出ないためです。これは誰もが経験していることですが、寒い冬のカラカラ天気が続きますと、自動車の乗降の際に”パチン”と発する静電気の火花にいやな思いがします。瞬間的ですが、数万ボルトの摩擦によって起きる静電気をおこさせないのが天然素材の木材の良さです。
後日談ですが、英国には霧が多発する気候とあって湿気の多さは有名で、ナラで作られた車体から木の芽が出てきた、という噂話もあります。