智頭杉
岡山県境に接している鳥取県八頭郡智頭町一帯から産出されるスギで、昔からこの地方は天然生用林材が豊富に存在しており、徳川時代に入ってからも鳥取藩によって、早くから開発・利用されていました。 智頭杉の特徴は、智頭地方の土質が粘土質のため、心材が濃い赤色を帯び、材の性質は粘り強くて年輪がやや軟らかいといいます。一般のスギは、中心部の年輪幅が広く、外側ほど細かくなっているのに対して、智頭材は中心材から外側まではほぼ一定幅の年輪になっています。しかも、心材の赤色が長く保たれ、外回り材に使っても年輪の目減りが少なく、建具材に使う場合にも、外回り部分に智頭材を使うのがよいと言われています。 銘木としての大径材は、ほぼ150年生以上の樹齢を経たもので、色調、杢の表れかた、光沢など、優美な味わいがあるものを造作材を中心に好んで使われてきました。 長押、鴨居のほか柱材、天井板としても使われましたが、戦後の板材の利用が減少し造作材を中心としたものに変わりました。また建具材としては、障子の枠、桟、腰板、ふすまの骨、各種の装飾的な板戸など、最高級の製品をされてきました。 銘木と呼ばれる智頭杉は、少なくとも150年生以上の樹齢を経たもので、非常に少なく高齢林分ほど大山林所有者が保有しており、伐採は極めて限定的です。